2010 年 1 月 8 日

ぴかまく公論 アルマイト処理とは

S・E・P技研株式会社
中西顕郎

 アルマイト処理とは、アルミの陽極酸化処理のことで、アルミを陽極で電解し強制的に酸化皮膜を生成させることで、耐食性を向上させたり、硬度をあげて耐摩耗性を向上させたりする処理です。一般的にはアルミの弁当箱ややかん、アルミサッシの表面処理として知られているかもしれません。このアルマイト処理はハイテク分野でも活躍しており、半導体のCVD装置や原子力関係の装置、航空機のアルミ部品等の処理としても利用されています。

 半導体のCVD装置のアルマイトでも特に精度の必要な部品はクラックレスアルマイトといって、クラックのほとんどない特殊アルマイト処理を行っており、日本でも数社しか処理することはできていません。なぜ、クラックレスアルマイトが必要かというと、アルミの素地とアルマイト層は熱膨張率が違い、アルミ素地に比べアルマイト層の方が膨張し難いため、熱がかかるとアルマイト層に亀裂が発生します。この亀裂からガスが進入、アルミ素地より腐食が発生し半導体に影響を及ぼすのです。航空機の部品についても、クラックより腐食が発生し、破損の原因となるため、クラックの発生しにくい特殊なアルマイト処理がされます。

 また、アルマイト層にはナノホールという、表面に小さな穴が開いています。以前からはこの穴に染料を入れて着色する技術がありましたが、この穴に様々な物質を入れて新たな機能を付け加える研究が進んでいます。例えば、Agを入れて抗菌性を持たせたり、Ni等導電物質を入れてアルマイト層に導電性を持たせ(アルマイト層自体は絶縁体)静電気を除去するなど、様々な機能が付け加えられています。さらにアルミ素地を除去してフィルターとして活用できないか等、アルマイト処理は古くからある技術ですが、まだまだ沢山の可能性を秘めた技術なのです。

SEP技研ではバリ取り、アルマイトをはじめ多くの表面処理加工の研究開発を進めております。お困りのことがあればぜひお問合せください。

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2010 年 1 月 19 日

ぴかまく公論 現地での溶射施工

倉敷ボーリング機工株式会社
田尻さや香


 当社、倉敷ボーリング機工は表面処理の中でも溶射というコーティング技術を行っている会社です。前回(2009年7月1日掲載)、溶射について簡単にご説明し、その特徴としては、①あらゆる材質に皮膜を形成でき、②溶射材料の種類を広範に選択できます。③基材の寸法に制限がなく、④皮膜の形成速度が高いという4点を挙げました。

 今回は③「基材の寸法に制限がない」という特徴についてご紹介します。溶射加工では、小さな形状のものでも大きな形状のものでも複雑形状のものでも成膜出来ます。これは皮膜自体の密着力等の特徴はもちろんですが、噴霧による乾式タイプであることも関係します。溶射皮膜の成膜装置は、電源やコントロールボックス(制御装置)、溶射トーチ(ガンとも呼びます)、と粉末供給機(粉末材料の場合)とこれらを繋ぐホース・ケーブル類で構成されます。これら設備のポータブル性を生かして、現地工事のご用命も承っております。

 お客様のプラント内の機上にて加工を行うメリットとしては、まずは、短納期です。50トン級の抄紙機用ロールの場合、当社工場までの往復輸送期間数日を含め、取り外し期間が不要となり、ダウンタイムの短縮が図れます。また、当社工場での施工に比べ低価格に抑えられます。参考に、50トン級の抄紙機用ロールの場合、ロールの取り外し数百万円、輸送費用数十万円が不要となります。なお、品質については、当社の工場で使用する溶射設備と全く同じものを活用しますので、当社工場で行った場合と全く同じです。

 

 近年、あらゆる産業において保全費の削減が行われておりますが、現地工事をご活用頂くことにより、設備のメンテナンスは今までと同様に定期的に行い、お客様の生産される製品の品質を維持できるだけでなく、短納期・低コストにて設備保全を行えます。

 当社が得意としておりますのは、製紙産業においては、原質パートのポンプ関係部品の溶射部分補修や、抄紙機では紙を巻き取るセクションであるワインダーパートのワインダードラムの再溶射加工。印刷機シリンダの現地補修。化学プラントではボイラチューブや各種タンクの腐食部の部分補修などです。お客様が予定されている定期修理期間内に作業を完了させるよう工程管理を行って参りますので、どうぞ一度ご検討ください。

 最後に、最近リリースした新製品K-StefRをご紹介します。

 トップコートにふっ素樹脂を成膜し、皮膜表面に非粘着性を持たせた溶射皮膜です。ウエブと接触するロールのケースでは、ピッチなどの粘着物が付着しにくく、付着しても取れやすい表面性を発揮します。この製品の現地施工のご用命も各種プラントよりますます増加しております。既存技術の場合、トップコートの施工には焼成炉が用いられてきましたが、当社の新しい技術により現地施工が可能となりました。300℃を越える高温の焼成工程が省かれましたので、製品自体が高温に曝されることが無くなり(母材温度は200℃以下)、熱応力によるロールの歪みや軸抜けがなくなりました。アンダーコートにはセラミックス系材料を成膜していますので、耐食性の付与だけでなく、このプロセスでは、アンダーコートの凹部にトップコートが埋まることで使用中に摩耗しても、アンダーコートの凸部がそれ以上の摩耗を抑制します。

 これにより、より長く母材をお使い頂き、何度も表面のみ再加工を行うことが出来るようになりましたので、経費削減をお約束します。

 溶射は金属・合金・セラミックス・プラスチックなど様々な材料を基材へ成膜し、希望する表面性能を付与できます。
 是非、時間が限られているとき、予算に制約があるときには、現地工事のご検討もされては如何でしょうか。

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