ぴかまく公論 環境負荷を低減しためっきプロセス
2009年3月31日
柿原工業株式会社
新プロセス開発室
王路 貴史
私たちの日常生活の中で『環境』と言う言葉をよく耳にします。最適な冷暖房温度を設定したり,消費電力の少ない家電製品に買い換えたり,ゴミの分別を行ってリサイクルを推進したり,近年では家電リサイクル法や自動車リサイクル法が制定されました。自動車業界では炭酸ガスの排出量を削減したハイブリッド自動車や燃料電池自動車が発売され,環境対応自動車の開発が進められています。
めっき業界も例外ではありません。めっき部品のRoHS,ELV規制からめっき皮膜に含まれる特定物質が制限されたり,めっき廃液から有価金属を回収したり,めっき液の薬品を,環境負荷の少ない薬品に代えていくといった数多くの取り組みが行われています。
このような中で,弊社も『Economy&Ecology』というスローガンを掲げ,環境負荷を低減しためっきプロセスの開発に取り組んでおります。今回はその取り組みの中の1つである,『樹脂めっき部品のリサイクル』をご紹介させていただきます。
このリサイクル技術の対象品はプラスチックに金属皮膜を表面処理した部品,いわゆる『樹脂めっき部品』です。自動車,家電製品,水栓金具部品,アミューズメント部品等で樹脂めっき部品が使用されています。
樹脂めっき部品は樹脂と金属薄膜の複合品で,樹脂と金属薄膜とが強固に密着しており簡単に分離することはできません。そのためリサイクルが難しく,要らなくなった樹脂めっき部品は産業廃棄物として埋め立て処分や焼却処分されています。
樹脂めっき部品のリサイクル方法としては,めっき金属皮膜を薬品で溶解し,樹脂を回収するという化学的な方法もありますが,薬品による樹脂の劣化や,樹脂内に残った残留薬品が再生材の成形再利用で成形金型を腐食させるといった問題,溶かした金属皮膜の廃液処理問題等があります。そこで弊社では,物理的な方法で樹脂めっき部品をリサイクルする開発検討を出光テクノファイン(株)と荏原ユージライト(株)と柿原工業(株)の3社で行いました。
.jpg)
開発したリサイクルシステム(上図)は,めっき部品を一定の粒度に粉砕する工程(1次,2次粉砕)と,粉砕された材料を磁力により樹脂部分と金属部分に選別する工程と,粉砕した樹脂部分を押しだし成形しペレット化する工程からなります。 粉砕物の粒度(粒の大きさ)を揃えることと磁力選別の条件設定により高純度・高回収率を実現しました。
この方法は,薬品を用いないため廃液は出ませんし,残留薬品の心配もありません。回収樹脂の物性もバージン原料とほぼ同等の物性(ABS樹脂データ)を示しています。
現在市場に出回っている樹脂めっき部品は,銅が存在するめっき部品ですが,弊社では一部の部品で銅の無いめっき部品(銅フリーめっき部品)の量産も行っております。銅は磁性が無いので,磁力による選別工程で銅薄膜が樹脂側に分別されてしまうことがあるのですが,この銅フリーめっき品は銅が無いため,樹脂側に混入することなく,非常に純度の良い樹脂が回収可能です。また,回収した金属分も高価に販売することが出来ます。
弊社ではこの実証プラントを2002年に導入し,自社で発生する樹脂めっき端材のリサイクル活動と,3社協力のもと本リサイクルシステムの販売を行っています。
回収した樹脂を一部の成形部品で使用しているという事例はありますが,現状ではまだ回収した樹脂でめっき部品を生産するまでには至っておりません。
このリサイクルシステムが環境に優しいプロセスであることをアピールしていくとともに,再生樹脂の利用が広く社会的に認知されることを望んでいます。
TrackBack URI :
コメント (0)






